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つい入りたくなる店構えとは?ファサードデザインの5つの鉄則
2025.07.04
看板・入口・照明など、“一瞬の判断”を制する外観づくりのコツ
「前を通りかかった人が、思わず足を止めてしまう」
そんな店舗は、外観=ファサードデザインに工夫があります。
店舗デザインの仕事において、店内の設計と同じくらい重視されるのが「外からの見え方」。通行人が“入るか入らないか”を判断するのは、ほんの3秒ともいわれています。今回は、Kazaliのこれまでの経験から導き出した、「入りやすい店構え」のためのファサードデザイン5つの鉄則をご紹介します。
1. 「店の顔」を明確に見せる──視線を引き寄せる“ひと目の情報設計”
ファサードは“店舗の顔”です。
そこに何の店か分からない・読み取れないという時点で、顧客の選択肢から外れてしまいます。
重要なのは、「何を売っているか」「誰に向けた店か」を視覚的に明確に伝えること。たとえば:
- 小さなベーカリーなら…焼きたてのパンの香りを外に流す換気設計+“食パン”のグラフィックを看板に
- ビンテージ家具店なら…店頭に一点物を1つ置き、個性を演出
- 美容室なら…価格帯やターゲットの年齢が伝わるようなロゴの書体や照明の色
“何屋か伝わればOK”ではなく、「自分向けの店かも」と思わせることが重要です。
2. 看板とサインは“視認距離”で設計する
「看板はあるのに見逃される」
そんな悩みを抱える店舗は少なくありません。原因の多くは、“適切な視認距離”が考慮されていないことです。
ポイントは以下の2つ:
・遠くから見えるための看板(アイキャッチ)
大通り沿いなら車の目線、高架下なら歩行者の角度に合わせる
繁華街では“高さ”よりも“通行導線の正面”に設置
・近づいてからの補足サイン
看板やガラス面の文字など、詳細を伝えるコンテンツは目線の高さで
特に多くの人が行き交う駅前や商業ビル内では、見える角度が限定されるため、看板は「1つで何もかも伝える」のではなく、「複数で連携して伝える」ことが大切です。
3. 入口は“心理的な壁”をつくらない
入り口が暗い、見えない、狭い、閉じている──それだけで人は一歩を踏み出しにくくなります。
人は本能的に「中の様子が分からない場所」には警戒心を持ちます。そこで意識したいのが、「心理的ハードルを下げる仕掛け」です。
- 窓越しにスタッフや商品が見える
- オープンな開口部で、外と中の空気感がつながっている
- ガラス戸や格子で“気配”が伝わる構造に
中の様子を「チラ見せ」できる設計は、安心感と興味を誘い、入店率の向上に直結します。
4. 照明は“色温度”と“当て方”が命
ファサードにおける照明は、単なる明るさの確保ではありません。雰囲気と印象を左右する最も重要な演出装置です。
注目すべきは「色温度」と「照射位置」。
- 温かみのある電球色(2700K前後)は、リラックス・親しみを与えやすく、飲食店や雑貨店に向いています
- 白く明るい昼白色〜昼光色(4000K〜6000K)は、清潔感やシャープさを強調するため、クリニック・美容系におすすめです
さらに、光の“当て方”次第で立体感・印象が大きく変化します。スポットライトでサインに陰影を与えたり、足元照明でエントランスを照らしたりすることで、店舗全体がグレードアップしたように見えます。
5. “魅せる”装飾は最小限で印象に残す
通行人が立ち止まるきっかけになるのが、ディスプレイや装飾です。しかし、飾りすぎると「ゴチャついた印象」になり、逆効果になることもあります。
Kazaliでは「魅せる要素は1〜2点に絞る」ことを推奨しています。たとえば:
- 商品陳列棚の一部に、季節のカラーアイテムだけを集める
- サイン横に植物を置いて温かみを演出
- 店名よりもシンボルロゴを前面に出して記憶に残す
“どこを見せたいか”を明確にし、そのために周囲のノイズを削ぐ引き算の設計が、結果的に「強い印象」に結びつきます。
ファサードデザインは“言葉を使わない営業”です
ファサードデザインは、看板をつけることでも、おしゃれにすることでもありません。
「ここに入れば、自分にとっていい時間がある」と、言葉を使わずに伝える空間づくり。それはまさに、“無言の営業マン”です。
Kazaliでは、業種や立地、ターゲット属性に応じたファサード設計を徹底し、通りすがりの1人を“来店客”に変える店舗づくりをお手伝いしています。
店舗外観の見直しや新規出店をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。