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ホテルの“価値”を高める空間づくりとは
2025.06.12
近年、ホテルを選ぶ理由は、価格や立地だけではなくなってきました。宿泊そのものが「特別な体験」として語られるようになり、SNSや口コミを通じて、その体験価値が広がる時代になっています。
その中で、空間の役割も変わりつつあります。大きな設備投資をせずとも、ちょっとした工夫や視点の転換が、ホテルの印象や滞在体験に大きな変化をもたらすことがあります。
この記事では、Kazaliが関わってきた事例をもとに、「空間づくりでホテルの価値を高めるためのヒント」をご紹介します。さまざまな角度から見直すことで、新しい魅力が生まれるかもしれません。
「宿泊体験のどこに力を入れるか」を見つめ直す
宿泊体験は、客室だけでなく、ロビー、廊下、共用スペースなど、施設全体で構成されます。その中で、どの空間に“思い出に残る仕掛け”をつくるかは、ホテルごとの判断です。
ある宿では、チェックインカウンター横に設けた地域の作家によるギャラリーコーナーが話題に。観光で訪れたゲストが地元の魅力を感じるきっかけになり、お土産購入や街歩きの動機づけにもつながったそうです。
すべてを変える必要はありませんが、“まずはどこから見直すか”を考えることは、空間づくりの第一歩になります。
「誰にとって、どんな時間を届けたいか」を考える
空間を考えるとき、ついインテリアや間取りに目が向きがちですが、もっとも大切なのは「どんな人に、どんな時間を届けたいか」という視点です。
例えば、ある地方ホテルでは「夜遅くチェックインして、早朝に出発する」ビジネス客が多いことから、“短時間でも心が休まる照明と音の演出”に注力した客室を用意。無理な改装はせず、照明の色温度とBGMの設計を見直したことで、「落ち着いて眠れるようになった」といった声が増えたといいます。
その土地や客層に合わせた“時間の質”を整える工夫は、どんな施設でも取り入れられる可能性があります。
小さな空間が、ホテル全体の印象を変えることも
空間づくりの効果は、意外と“小さなエリア”から現れることもあります。
たとえば、あるホテルでは、客室の一角に「本とコーヒーを楽しむためのスペース」を設けました。1〜2人が座れる程度の小さなコーナーでしたが、「部屋に居たくなる」「夜の時間が特別に感じられた」と好評に。結果的に、そのホテルの“落ち着いた時間が過ごせる場所”という印象が広がりました。
「空間を変える=大きな投資が必要」と考えがちですが、小さな一歩から変化が始まることもあるようです。
Kazaliが実際に提案した空間づくりの事例
ここからは、Kazaliが実際に手がけた空間づくりの事例をご紹介します。具体的な工夫や、お客様の反応なども含めてご紹介します。
子ども連れファミリーに喜ばれるコンセプトルーム
Kazaliでは、子ども連れファミリーに向けたコンセプトルームの設計・施工を行っています。特長は、壁紙やイラストではなく、実際に立体造作を用いて空間そのものを体験の場にしている点です。
一例として、千葉県のとあるホテルでは、以下のようなテーマルームを企画・実現しました:
- 消防車ルーム:運転席を模したベッドや操作パネルなど、本物の消防車のような造作を施し、子どもたちが“消防士になりきって遊べる”空間に。
- 宇宙ルーム:丸窓や天井ドームの造作で、宇宙船に乗っているような没入感を演出。照明や装飾もSF的な世界観に統一。
- 飛行機ルーム:キャビン風の室内とパイロット席を模したベッドで、操縦気分が味わえる工夫を随所に取り入れました。
これらの部屋では、単なる装飾ではなく、実際に立体的な造作を施すことで、室内全体を“なりきり体験”の場として成立させています。
これらの部屋は実際に一部フロアに導入されたもので、「子どもがこの部屋に泊まりたいと言って予約した」「テーマ違いでリピートしたい」という声が多く寄せられています。
一部フロアを“フォトスポット”として活用する工夫
別のホテルでは、Kazaliが一部フロアを“写真を撮りたくなる空間”として再編集する提案を行いました。
既存の廊下や壁面を活用し、壁画や立体造作、照明演出を組み合わせて、館内に滞在中でも思わずカメラを向けたくなる場所を複数設置。結果として、SNS投稿が自然に増え、「このホテルは写真映えする」といった声が広がりました。
また、エレベーター前や客室前など“通り過ぎるだけの場所”をあえて演出スポットにすることで、お客様の滞在導線上に楽しい仕掛けが加わり、ホテル内で過ごす時間がより印象的なものになったと感じる方が増えたようです。
このように、フォトスポットは単なる装飾ではなく、“滞在時間の質”そのものを引き上げる可能性を持っています。
空間の力で、ホテルの魅力をもう一段引き上げるために
ホテルの魅力を高めたいと考えたとき、まず思い浮かぶのは設備やサービスの強化かもしれません。しかし、実は“空間の工夫”も、お客様の満足度を左右する重要な要素のひとつです。
なにも、大規模なリニューアルをしなければならないわけではありません。たとえばほんの一部のフロア、あるいは滞在中に目にする小さなスペースを見直すだけでも、ホテル全体の印象や、お客様の記憶に残る“価値”をつくり出すことができます。
今回ご紹介したように、空間の見直しは“体験の質”に直結します。時代が変わっても、「ここに来てよかった」と感じられる体験は、やはり空間から生まれるものです。
「いまのままでも大きな不満はないけれど、もう一歩先の魅力をつくっていきたい」
そんな想いをお持ちであれば、Kazaliへのご相談も選択肢のひとつとしてご検討ください。
私たちは、テーマルームやフォトスポットのような“印象に残る仕掛け”だけでなく、導線や運用、費用対効果まで含めた現実的なプランニングと、空間づくりのプロとしての視点で、最適な一手をご提案します。
「ホテルの価値を高める空間づくり」、Kazaliと一緒にかたちにしてみませんか。